光ディスクとは
データの読み書きにレーザー光を利用するメディアのことを光ディスクといいます。 以下では、最も代表的な光ディスクであるCDとDVDについてのみ説明します。
光ディスク(以下、CD、DVDに限定してこの言葉を使います)は、 基本層、反射層、保護層などからなる多層構造です。
データの書き込みが可能な光ディスクには、基本層と反射層との間に記録層があります。
音楽用CDやCD-ROMには、プレス加工時に作られた凹凸(ピットとランド)があります。 レーザー光を当てると、その凹凸の違いによってレーザー光の反射の仕方が変わります。 その反射の違いによってデータを読み出します。
CD-RやCD-RWなどの書き込み可能なCDの場合、ピットとランドに相当する凹凸が記録層に刻まれています。
逆に、データを記録することは、何らかの方法で記録層に凹凸をつけることによって実現されます。
DVDにおけるデータの読み書きや書き込みの原理も、基本的にはCDと同じです。
光ディスクにおけるファイルシステム
コンピュータで使われる光ディスクのファイルシステムには、 CD-ROM用の国際規格であるISO9660、 それをMicrosoft社が独自に拡張したJOLIET、 規格団体OSTA(Optical Storage Technology Association)が策定したUDF(Universal Disk Format)などがあります。
また、CD-Rに記録した音声データを、家庭用のCDプレーヤで再生するときには、 音楽CD用のCD-DAフォーマットで記録します。
書き込み可能な光ディスクにデータを記録する方法
光ディスクの記録層をどのように変形させるかという、 物理的(ハードウェア的)な意味での記録方式には、色素変化による記録方式と相変化記録方式とがあります。
また、論理的(ソフトウェア的)な意味でのデータの書き込み方法には、 ディスクアットワンス、トラックアットワンス、セッションアットワンス、パケットライティングがあります。
色素変化による記録方式
色素変化による記録方式では、記録面に有機色素を塗布し、これにレーザー光を当て、色素に化学変化を起こさせることでデータを記録します。 化学変化を起こした部分は元には戻らないため、この記録方式では一度しかデータを書き込むことができません。 有機色素には、シアニン系、フタロシアニン系、アゾ系の三種類があります。
CD-R、DVD-R、DVD+Rに採用されています。
相変化記録方式
相変化記録方式とは、結晶状態(Crystal)と非結晶状態(Amorphous)の反射率の違いを利用したデータ記録方式です。
レーザ光によって緩やかに熱してそのあと冷却すると結晶状態になり、急激に熱してすぐに冷却すると非結晶状態になります。 結晶状態では原子の配列が揃っているため反射率が高くなり、 逆に非結晶状態では原子の配列が揃っていないため反射率が低くなります。
相変化記録方式では、古いデータを消去して、新しいデータを再度書き込むことができます。
CD-RW、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWに採用されています。
ディスクアットワンス
ディスクアットワンスとは、 一枚のCD-Rに対して、一度の書き込みでデータの記録を完了してしまう書き込み方法です。 最初に先頭のリードインと呼ばれる領域にファイルを管理するためのTOC(Table Of Contents)を書き込み、 次にデータを書き込み、最後にデータ終了を表すリードアウトと呼ばれる領域を作ります。
ディスクアットワンスでは、CD-Rメディアに空き容量があっても、 残りの部分にはデータを書き込むことができません。
ディスクアットワンスでの書き込みを実行するためには、 プリマスタリングソフトと呼ばれるソフトウェア(例えば、B's Recorderなど)が必要です。
トラックアットワンスとセッションアットワンス
トラックアットワンスは、データをトラックと呼ばれる単位で管理し、そのまとまりとして書き込む方法です。 [リードイン]→[複数のトラックからなるデータ]→[リードアウト]を一つのセッションとして、 データをセッションごとに追記します。二つのトラックの間にはリンクブロックが書き込まれます。
セッションアットワンスとは、[リードイン]→[データ]→[リードアウト]を一つのセッションとして、 データをセッション単位で管理します。データはセッションごとに追記します。
トラックアットワンスやセッションアットワンスを総称して、 マルチセッションと呼ぶことがあります。 また、それに対して、 ディスクアットワンスをシングルセッションと呼びます。
トラックアットワンスやセッションアットワンスでは、 書き込みの際、先頭のリードインと呼ばれる未使用領域を残したまま、 最初にデータを書き込み、次にデータ終了を表すリードアウトという領域を作り、 最後にファイルを管理するためのTOC(Table Of Contents)をリードインの中に書き込みます。
CD-Rメディアに空き容量があれば、残りの部分にデータを追記することができます。 ただし、リードインとリードアウトとを合わせると約14MBになるため、 セッションの数が増えると、実際に記録できるデータ量が少なくなってしまいます。
トラックアットワンスやセッションアットワンスでの書き込みを実行するためには、 プリマスタリングソフトと呼ばれるソフトウェア(例えば、B's Recorderなど)が必要です。
パケットライティング
データをパケットと呼ばれる小さい単位で書き込む方法です。
パケットの前後に、パケットの管理情報を記録するためのランインおよびランアウトと呼ばれる領域を作ります。 ランインとランアウトとを合わせた容量は約14KBです。
パケットライティングを行うとき、 ファイルシステムとして一般にUDF(Universal Disk Format)フォーマットが用いられます。
アットワンスやマルチセッションは、 あらかじめ用意したファイルを一括して書き込む方法でしたが、 パケットライティングは、 データをファイル単位でコピーすることが可能です。 つまり、光ディスクにおけるファイル操作をハードディスクと同じようにすることができます。
ただし、通常のCD-ROMドライブで読み出すためには、 記録されたデータ全体の先頭と末尾にリードインとリードアウトを作る必要があり、 それを行うとそれ以上のデータの書き込みはできなくなります。
パケットライティングによる書き込みを実行するためには、 パケットライトソフトと呼ばれるソフトウェア(例えば、B's Clipなど)が必要です。