パラレル転送方式とシリアル転送方式
データの転送方法には、パラレル方式とシリアル方式とがあります。
パラレル方式は、複数の信号線によって同時にデータを転送します。 それに対して、シリアル方式は、1本の信号線で1ビットずつ連続してデータを転送します。
2つの方式を比較すると、次のようになります。
パラレル転送方式 | シリアル転送方式 | |
---|---|---|
クロックあたりの伝送効率 | 良い | 悪い |
ケーブル | 太い | 細い |
長距離の転送 | 適さない | 適する |
パラレル方式は、1度に送るビット数が多いため、クロックあたりの転送効率が高いです。 その代わり、複数の信号線を用いるため、物理的にケーブルが太くなります。 しかも、信号線の数が増える分だけノイズの影響を受けやすく、 また、距離が長くなるほど信号同士で伝送のタイミングを一致させることが難しくなります。 そのため、長距離の転送には向きません。
CPUなどのデバイスが高クロック化してくると、 パラレル方式ではノイズや転送タイミングの問題が深刻化し、高速なデータ転送が難しくなってきています。
シリアル方式は、信号線が1本のため、ケーブルを細くすることができます。 パラレル方式のような、複数の信号線による悪影響もないため、長距離の転送が可能になります。 また、デバイスの高クロック化による影響も受けにくいです。
このため、USB、IEEE1394、Serial ATAといったシリアル方式のインターフェースが台頭してくるようになりました。
USB
USB(Universal Serial Bus)は、さまざまな用途の機器に対して使えるシリアルインターフェースです。
USBで接続される機器には、階層があります。 USBでは、1台のパソコンについて、USBハブ(分岐装置)を仲介として、 最大6階層、127台、ケーブル総延長5m以内までの機器を接続することができます。
USBケーブルの両端のコネクタは平べったいコネクタ(シリーズA)と四角いコネクタ(シリーズB)というように別の形になっていて、 平べったい方のコネクタを上の階層の機器に差し、四角い方のコネクタを下の階層の機器に差します。
USBコネクタは、機器の電源を入れたままでも抜き差しが可能(いわゆるホットプラグ対応)です。
USB1.0では最大12Mbps、1999年2月に策定されたUSB2.0では最大480Mbpsの転送速度を実現します。
IEEE1394
IEEE1394は、最大400Mbpsのデータ転送速度を持つ、高速なシリアルインターフェースです。
1ポートあたり最大16台までの機器をデイジーチェーン(数珠つなぎ)接続することができます。 さらに、IEEE1394ハブ(分岐装置)を用いることにより、最大63台まで接続することができます。 機器間のケーブル長は4.5m以内、全延長は72m以内です。
IEEE1394コネクタは、機器の電源を入れたままでも抜き差しが可能(いわゆるホットプラグ対応)です。 IEEE1394コネクタには、 機器に電源を供給できる6ピンのものと、電源を供給しない4ピンのものがあります。
IEEE1394は、Windowsでは98SE、Me、2000、XPが対応しています。 Windows 95、98、NTは対応していません。
SCSI
SCSI(Small Computer System Interface:スカジーと読みます)は、 さまざまな用途の機器に対して使えるパラレルインターフェースです。
もともとはハードディスクドライブ用のインターフェースでしたが、 それが拡張されて現在に至っています。
バス幅が8ビット幅のSCSIをNarrow SCSIといい、16ビット幅のSCSIをWide SCSIといいます。 Narrowでは50ピンまたは25ピンのコネクタを用い、Wideでは68ピンのコネクタを用います。
1台のパソコンに対して、最大7台までの機器をデイジーチェーン(数珠つなぎ)接続することができます。
規格 | 8ビット転送(Narrow) | 16ビット転送(Wide) |
---|---|---|
SCSI-1 | 5MBytes/秒 | --- |
SCSI-2(Fast SCSI) | 10MBytes/秒 | 20MBytes/秒 |
SCSI-3(Ultra SCSI) | 20MBytes/秒 | 40MBytes/秒 |
Ultra2 SCSI | --- | 80MBytes/秒 |
Ultra3 SCSI(Ultra160 SCSI) | --- | 160MBytes/秒 |
Ultra320 SCSI | --- | 320MBytes/秒 |
Ultra640 SCSI | --- | 640MBytes/秒 |
RS-232C
RS-232Cは、シリアル転送方式によるデータ転送の規格の一つです。
RS-232Cは、パソコンにモデムやターミナルアダプタを接続したり、2台のパソコンを接続するときに使います。
しかしながら、より高速なUSBやIEEE1394の登場により、 RS-232Cを使用するパソコンや機器は今後、減少していくものと思われます。
IEEE1284
IEEE1284は、パラレル転送方式によるデータ転送の規格の一つです。
IEEE1284は、主にプリンタを接続するときに使います。 現在では、プリンタの接続はUSBとIEEE1284の両方が用いられています。
しかしながら、IEEE1284インターフェースを搭載するパソコンやプリンタは、今後、減少していくでしょう。
PS/2
PS/2(Personal System/2)とは、IBMが1987年に製造、販売したパソコンの名前です。 そのときにキーボードとマウスのインターフェース規格として使われていたものが、 その後のパソコンにも用いられ、その規格をPS/2と呼んでいます。
最近ではUSBに取って代わられつつあります。 特にノートパソコンでは、PS/2ポートを搭載しないものが増えてきています。
PS/2はUSBと違って、パソコンの電源が入っている最中に着脱すること(ホットプラグ)には対応していません。 パソコンの電源が入っている状態で機器の着脱を行うとパソコンが故障する可能性もあります。 ですので、PS/2対応のキーボードやマウスの着脱を行うときは、パソコンの電源がオフになっていることを確認してから行ってください。