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グラフィックチップの変遷

Windowsが普及するよりも昔、グラフィックチップの役割は、単純にディスプレイを制御することだけでした。描画処理はすべてCPUが行っていました。グラフィックメモリは独立には存在せず、メインメモリの一部が描画処理のために割り当てられていました。

その後、時代の流れは描画処理をハードウェア的に独立させる方向へと向かいました。CPUが行っていた描画処理の一部をグラフィックチップが肩代わりするようになっていきました。CPUの負担を減らし、描画を高速化させるためのさまざまな機能がグラフィックチップに搭載されました。そのような機能はグラフィックアクセラレータと呼ばれています。

なお、グラフィックアクセラレータと言った場合、一般には文脈によって、グラフィックチップのことであったり、グラフィックカードのことであったりすることもありますので注意してください。ここでは、グラフィックアクセラレータと言う場合には、上で述べたようなグラフィックチップに搭載された機能のことを指すものとします。

グラフィックアクセラレータには、大雑把にいって、二次元と三次元があります。

二次元グラフィックアクセラレータは、二次元画像の描画を高速化します。このような機能は、GUI(Graphical User Interface)を快適にする上で重要です。そのため、Windowsが普及する前後、CUI(Character based User Interface)からGUIへと移行する際に大きく発展しました。しかし現在では、二次元画像の描画性能はすでに飽和状態にあるといわれています。

三次元グラフィックアクセラレータは、三次元グラフィックスの処理を高速化します。

三次元グラフィックスでは、物体(オブジェクト)を「ポリゴン」と呼ばれる小さな三角形の集合体として表します。ポリゴンの各頂点は、x座標、y座標、z座標の3つの実数値で表されます。複雑な形状の物体を処理するには、それをポリゴンに分割し、それぞれのポリゴンを処理すればよいというのが、三次元グラフィックス処理の基本的な考え方です。

三次元グラフィックスの処理は、主に「ジオメトリ処理」と「レンダリング処理」とに分けられます。ジオメトリ処理は、ポリゴンの座標変換(Transform)と、ポリゴンの面の明るさの計算(Lightning:光源処理)です。また、レンダリング処理は、ジオメトリ処理後の物体データを画面上に実際に表示する作業です。例えば、ポリゴンにテクスチャと呼ばれる画像データを貼り付けて質感を表現するといったことを行います。

三次元グラフィックアクセラレータは、Windows用のマルチメディア機能のためのAPI(Application Program Interface)群であるDirectX、特にその中のDirect3Dと共に発展しました。

DirectX 7.0より前は、CPUがジオメトリ処理を行い、グラフィックチップがレンダリング処理を行っていました。あるいは、十数万円以上の高価なグラフィックカードにおいては、ジオメトリ処理を専門に行うハードウェアを搭載していました。

DirectX 7.0において、グラフィックチップがジオメトリ処理のためのハードウェア回路を内蔵するようになり、ジオメトリ処理も行うようになりました。このハードウェア回路は「ハードウェアT&L(Transform and Lighting)」と呼ばれています。

ちなみに、1999年8月31日に、NVIDIA(エヌビディア)社がDirectX 7.0に対応したグラフィックチップ「GeForce(ジーフォース) 256」を発表しました。このときの発表会で行われたプレゼンテーションにおいて「GPU(Graphic Processing Unit)」という用語が初めて登場しました。

DirectX 8.0では、グラフィックチップの内部処理をプログラミングによりカスタマイズすることが可能になりました。そのプログラムもしくはプログラムに従って処理を実行するハードウェアのことをプログラマブルシェーダと呼びます。プログラマブルシェーダには、ジオメトリ処理に関わる「頂点シェーダ」と、レンダリング処理に関わる「ピクセルシェーダ」があります。一方、プログラミングによりカスタマイズできない部分を「固定機能」と呼びます。例えば、DirectX 7.0のときに搭載されたハードウェアT&Lは固定機能です。

DirectX 9.0では、プログラマブルシェーダが強化されました。それどころか、プログラマブルシェーダがメインになり、固定機能の部分はプログラマブルシェーダがエミュレートするようになりました。ジオメトリ処理は頂点シェーダがメインとなり、ハードウェアT&Lが削除され、同等の機能が頂点シェーダによってエミュレートされるようになりました。レンダリング処理に関する固定機能も、ピクセルシェーダによってエミュレートされるようになりました。

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