チップセットとは
チップセットとは、CPUからの命令を他のデバイス(メインメモリ、拡張カード、各種ディスクドライブ、キーボード、マウス等)に伝えたり、 逆に、CPUに他のデバイスから送られてくるデータを伝えるためのLSI(Large-Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)です。 それぞれのデバイスの電気特性の違いやデータ転送速度の差を吸収し、データ転送のタイミングを制御します。
チップセットは、動作が高速なデバイスを担当するノースブリッジと、 動作が低速なデバイスを担当するサウスブリッジとに分けられます。
ノースブリッジやサウスブリッジは、コントローラと呼ばれる、デバイスやシステムを制御するためのLSIを、 高速デバイス向けと低速デバイス向けとに分けて、それぞれ統合したものと考えることができます。
なお、ノースは「北」、サウスは「南」で、ブリッジは「橋渡し」の意味です。 マザーボード上での位置関係で、CPUに近い側を「北」、遠い側を「南」と見なして、このように呼んでいます。
チップセットの多くは、ノースブリッジとサウスブリッジとを別のLSI(チップ)として実現します。 また、ノースブリッジやサウスブリッジが複数のLSIで実現されることもあります。 一方、SiS社のチップセットのように、チップセットの機能を一つのLSIに詰め込んだものもあります。
Intel社のIntel810以降のチップセットは、 MCH(Memory Controller Hub)およびICH(Input/Output Controller Hub)と呼ばれるLSIで構成されていますが、 これらはノースブリッジおよびサウスブリッジに相当するものです。
サウスブリッジ
サウスブリッジは、IDE機器(ハードディスクドライブや光ディスクドライブ)、PCI対応の拡張カード、 USB機器、PS/2に接続する機器(キーボード、マウス)、BIOSなど、低速で動作するデバイスを制御します。
サウスブリッジは、これらのデバイスを制御するいくつかのコントローラ (IDEコントローラ、PCIコントローラ、USBコントローラ等)の他に、 割り込みコントローラやDMA(Direct Memory Access)コントローラを搭載しています。
割り込みコントローラは、実行中の処理を一時中断して、デバイスからのデータを受け取るための制御を行います。 また、DMAコントローラは、ハードディスクからのデータを、CPUを介さずに高速でメインメモリに転送します。
ノースブリッジ
ノースブリッジは、メインメモリやAGP対応の拡張カード(グラフィックカード)など、動作が高速なデバイスを制御します。 さらに、サウスブリッジとCPUとの間のデータ転送の制御も行います。
ノースブリッジは、ホストブリッジ、メモリコントローラ、AGPコントローラ、バスコントローラで構成されています。 また、CPUとはシステムバス(CPUバス、FSB(Front Side Bus))、メインメモリとはメモリバス、 AGPスロット(グラフィックカードを接続する)とはAGPバスで接続されています。
ノースブリッジとサウスブリッジとの間はかつて、PCIバスで接続されていました。 個々のデバイスが高速化するのにともなって、1999年以降、各メーカーがそれぞれ独自の高速な専用バスを採用するようになりました。
メーカー | 専用バス |
---|---|
ALi | A-Link |
AMD | Hyper Transport |
SiS | MuTIOL |
VIA | V-Link |
インテル | Hub-Link |
マザーボード
マザーボードは、チップセット、バス、スロット、ポート等で構成された基板です。
現在のパソコンは、マザーボードにさまざまなデバイスを接続することによって成り立っています。
チップセットは、マザーボードに搭載可能なデバイスの種類を決定します。例えば、
- 搭載できるCPUの種類
- メインメモリとして利用できるメモリモジュールの種類および容量
- 利用できるグラフィック機能
- ハードディスクの最大転送速度
- 利用できるサウンド機能
- 利用できるインターフェースの種類
- USBポートの数
などはチップセットの種類によって決まってしまいます。
したがって、チップセットはパソコンの性能を決める部品であるといえます。
グラフィック、サウンド、LANなどの機能を実装するとき、 チップセットに組み込む場合や、マザーボード上に独立のコントローラを搭載する場合があります。 前者の機能をオンチップ機能といい、後者の機能をオンボード機能といいます。 また、機能のすべてではなく、一部だけをオンボードやオンチップにして、 残りをソフトウェア的に補完するという場合もあります。
マザーボードにオンボード機能やオンチップ機能が搭載されていることのメリットには、
- 拡張カードを増設するよりもコストがかからない
- 接続不良が起こらない
- 相性問題(個々の機器は正常であるにも関わらず組み合わせると正常に動作しないという問題)が発生しない
などがあります。一方、デメリットには、
- 増設した機器との相性問題が発生した場合、解決策が限定される
ということがあります。
あと注意すべきことは、どちらも表面的にはPCIスロットを消費していませんが、 IRQ(Interrupt ReQuest)は消費しているということです。