はじめに
以下において、CMOSクリアの手順について述べていますが、実際に作業を行うときには必ずマザーボードのマニュアルもしくはメーカーのウェブサイトを参照し、そちらの説明にしたがってください。
CMOSクリアとは
マザーボード上のCMOS RAM(Complementary Metal Oxide Semiconductor Random Access Memory)には、BIOSの設定画面において設定した情報が保存されています。CMOSクリア(CMOSは「しーもす」と読みます)とは、このCMOS RAMに保存されている情報を消去する操作のことです。言いかえれば、BIOSの設定を初期化する操作です。
一般にRAMは、電気によって記憶内容を保持し、電気を断つと記憶内容が消去されます。実際、マザーボード上のCMOS RAMが記憶している情報も、電源装置やマザーボード上のリチウム電池から供給される電気によって保持されています。CMOSクリアの原理は、CMOS RAMが情報を保持するために使われている電気を断つことによって、CMOS RAMの記憶内容を消去するというものです。
どのようなときにCMOSクリアを行うのか
CMOSクリアは、BIOSの設定を初期化したい場合に行います。例えば、以下のような場合に、CMOSクリアを行います。
- BIOSをアップデートした直後、パソコンが起動しない場合
- BIOSの設定を変更したあと、パソコンの調子が悪くなった場合(特に、オーバークロック設定後に調子が悪くなった場合など)
- BIOSのパスワードを忘れたため初期化したい場合
また、配線ミスでもハードウェアの不良でもないのに、パソコンが起動しないトラブルが発生したとき、CMOSクリアを行うことで症状が改善されることがあります。
しかし、BIOSのアップデート時にBIOSの書き込みに失敗したなどの理由で、BIOSそのものが破損している場合は、CMOSクリアを行っても症状は改善されません。
CMOSクリアの手順(ジャンパピンをショートさせる方法)
マザーボードがCMOSクリアのためのジャンパピンを搭載している場合に、このジャンパピンをショートさせてCMOS RAMの記憶内容を保持するための電気を逃がすというのがこの方法の概要です。
ジャンパピンの有無や位置や種類についてはマザーボードによって異なりますので、各マザーボードのマニュアルを参照してください。CMOSクリアのためのジャンパピンを搭載していないマザーボードの場合、この方法は使えないので、次に述べるリチウム電池を外す方法を参照してください。
- まず最初にパソコンの電源を切り、電源コードをパソコン本体から抜きます。この時点では、まだマザーボードのコンデンサやリチウム電池からCMOSへ電気が供給されているため、CMOSに保存されている情報は消去されません。
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CMOSクリアのためのジャンパピンをショートさせます。CMOSクリアのためのジャンパピンには2ピンタイプと3ピンタイプがあります。
- 2ピンタイプの場合、ジャンパ・プラグを差し、10秒ほど放置したのち、ジャンパ・プラグを外します。
- 3ピンタイプの場合、ジャンパ・プラグを差す場所を変え、10秒ほど放置したのち、ジャンパプラグを元に戻します。
- 電源コードをパソコン本体に差し、パソコンの電源を入れます。
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BIOSの設定画面に入り、デフォルトの設定をロードします(Load Setup Defaults または Load Fail-Safe Defaults)。そのあと、以下の設定を行います。
- 時刻の設定
- CPUの動作周波数の設定
- 起動ドライブの優先順位の設定
CMOSクリアの手順(リチウム電池を外してしばらく放置する方法)
電源コードを外し、マザーボード上のリチウム電池を外すことで、CMOSの情報を保持するための電気を断つというのがこの方法の概要です。
- まず最初にパソコンの電源を切り、電源コードをパソコン本体から抜きます。この時点では、まだマザーボード上のコンデンサやリチウム電池からCMOSへ電気が供給されているため、CMOSに保存されている情報は消去されません。
- マザーボード上にあるリチウム電池(丸いボタン型の電池です)を外します。
- 1時間ほど放置します。これにより、マザーボード上のコンデンサが蓄えている電気が消費されます。
- リチウム電池を元に戻します。
- 電源コードをパソコン本体に差し、パソコンの電源を入れます。
-
BIOSの設定画面に入り、デフォルトの設定をロードします(Load Setup Defaults または Load Fail-Safe Defaults)。そのあと、以下の設定を行います。
- 時刻の設定
- CPUの動作周波数の設定
- 起動ドライブの優先順位の設定