ハードディスク完全消去ツール
古いパソコンを売るとき、ハードディスク内のデータをどうするかという問題が生じます。
ご存知の方も多いと思いますが、ファイルの削除やフォーマットだけでは、ハードディスクの中のデータは残っています。 大雑把にいいますと、ファイルの削除やフォーマットはあくまで「削除済み」あるいは「フォーマット済み」という情報をハードディスクに書き込むだけで、 データ本体が書き込まれた部分には何も手を加えません。 この状態ですと、データ復元ツールで比較的容易に消したはずの重要なデータが復元できてしまいます。
ハードディスク完全消去ツールとは、ハードディスクにまんべんなく無意味なデータを上書きするソフトウェアです。 これにより、データ本体も上書きされるので、ソフトウェア的にデータを復元することはできなくなります。
「ソフトウェア的に」というのは、例えば、同一の値を書き込む程度ですと、 残留磁気を高精度で読み取る専門の機械を用いることにより、 データを復元することが可能な場合があります。
もちろん、データを保護する最も確実な方法はハードディスクを物理的に破壊することです。 しかし、そこまでしなくても、複雑なデータの上書きを何度も繰り返せば、 たとえ専門の機械であってもデータを復元することは困難になります。
それに加えて、ハードディスク完全消去ツールであれば、ハードディスクを再利用することができ、経済的です。
ターミネータのレビュー
先日、管理人は余ったハードディスクドライブを売却しました。 その際、アルファ・オメガソフトのターミネータパーフェクト2.0 (以下ターミネータと略します) というソフトを使って、 ハードディスクの完全消去を行いました。
ターミネータの特徴は以下の通りです。
- (個人所有のパソコンであれば) 使用回数無制限。
- CD-ROMにLinux OSが内蔵されており、CD-ROMから起動できる。
- 抹消作業中にCD-ROMを取り出すことが可能。
- 世界最高水準の抹消機能(米国国防総省DoD5220.22方式、Gutmann方式)
- 7段階の抹消機能を任意に選択可能。
- 抹消レポートをフロッピーディスクに保存可能。
- IDE、SCSI、USB接続のハードディスクに対応 (IEEE1394接続のものには非対応)。
どうせなら世界最高水準の抹消機能で作業したいと思うのが人情というものですが、 米国国防総省DoD5220.22方式(レベル5、6)、Gutmann方式(レベル7)ですと、作業にとても時間がかかってしまいます。
管理人は、米国国家安全保障局(NSA)方式(レベル4)で妥協しました。
ターミネータによる抹消作業はとても簡単です。 あえて言うなら、CD-ROMを使用する度に、規約の同意とシリアルナンバーの入力を行わなければならないのが多少面倒くさいです。
- 完全消去を行いたいハードディスクドライブのみをパソコンに接続する。
- 電源を投入し、直後にCD-ROMを入れる。
- ライセンス規約を読み、同意する。
- シリアルナンバーを入力する。
- メインメニューで「1. データの抹消」を選択する。
- 対象となるディスクを確認。複数のディスクを接続している場合、それらすべてが抹消の対象になるので注意。
- 抹消方法を選択。
- 抹消実行。
以下、完全消去の作業時間をハードディスクごとにまとめました。
【動作環境】 M/B: AX6B、CPU: Pentium III 800MHz、Memory: 256MB(PC100 SDRAM DIMM CL=2)、Drive: CD-ROM 32X(Ultra DMA 33対応)
ディスク型名 | 抹消方式 | 作業時間 |
---|---|---|
WDC AC21000H (1GB) | ゼロ書込み方式 (レベル1) | 8分19秒 |
NSA方式(レベル4) | 26分10秒 | |
IBM DTTA 351010 (10GB) | ゼロ書込み方式 (レベル1) | 41分39秒 |
NSA方式(レベル4) | 2時間3分33秒 | |
IBM DTLA 307030 (30GB) | ゼロ書込み方式 (レベル1) | 52分48秒 |
NSA方式(レベル4) | 2時間38分36秒 |
なお、大まかな目安として、米国国防総省DoD5220.22方式標準(レベル5)、 米国国防総省DoD5220.22方式拡張(レベル6)、Gutmann方式(レベル7)は、 それぞれNSA方式の2倍強、4倍強、12倍の時間がかかります。