コンピュータ・インターネット - ネットワーク

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ビルや構内にLANを張る技術はケーブルの多様さ、防災の問題、収容の問題など多くの制約を抱えている。現在主流となっている電話網とIP網の接続の概念を学び、さらに通信ケーブルやコンポーネント、通信規格の知識を得、メタルケーブル・光ケーブルの敷設、安全手順、試験などの手続きにも通じなければならない。

本書はLANの敷設技術について述べたものだ。内容は大きく2つに分かれており、Part1では構造化配線システムと規格としてLANのシステム概要をはじめ、ネットワーク媒体・コネクタ・構造的に配線するシステムなどのハードウェア、そして配線の技術をバックボーンの配線・水平配線・ワークエリアの配線について述べている。いずれも配線に用いるコンポーネント、主要な配線技術を一通り扱っており、品質問題や各規格で勧告あるいは推奨する内容もすべて掲載している。ここではさらに各種規格、そして伝送の基礎として信号伝送工学についても取り扱っている。

Part2では施工と試験について解説しており、施工については建設業界に示す施工設計と全体設計のプロセスの解説から、施工と安全性・危険な環境・防護器具の解説、配線敷設に関わる内容としてグランディングとボンディング、ビル通信室の構築、ケーブルの支持構造、ファイヤストッピング、配線前準備、バックボーン配線の敷設、銅水平配線の敷設、光ファイバ・ケーブルの施工、銅ケーブル・光ファイバの成端とスプライスが取り扱われている。試験の解説としてはケーブル試験器具、銅及び光ファイバ・ケーブルの試験の手順・規格、そしてトラブルシューティングの手順が述べられている。

本書はLAN配線の基礎知識と施工に必要な手順の解説書として工事に携わる方におおいに役立つだろう。ただし、ハンドブックとしての性格上、実際の施工例や工事の具体的な対応などについてはあまり詳細に述べておらず、あくまで一般的な情報にとどまっている。基準となっている規格は基本的に米国のものであることも注意が必要だ。LAN敷設に関わる工事事業者・管理者などにお勧めの1冊である。（斎藤牧人）

ネットワークはなぜつながるのか? この問いに対して専門の技術者は、それぞれの専門に応じた答えを言うだろう。通常のインターネットワーキングの技術者ならばプロトコルのしくみを述べるだろうし、伝送技術の専門家は信号方式について述べるだろう。光ファイバーの技術者ならばモードについて語るかも知れない。そのすべてに精通している技術者はなかなかいない。

本書はこの部分に焦点をあて、初心者向けにネットワークのテクノロジーをわかりやすく解説した入門書だ。ユーザーレベルの読者でも理解できるように、Webブラウザをスタートとして、TCP/IPを介してLANアダプタから信号が送出され、ハブ・スイッチやルータを通してISPへ至り、光ファイバーのバックボーンを通ってサーバに到着するとういう経路を詳しく追って解説している。その過程でユーザーが入力したURLからHTTPメッセージを発行するしくみや、DNSのしくみ、TCP/IPルーティング、ツイストペアケーブル内での信号伝送の構造、ADSLのしくみ、そして光ファイバー伝送や、サーバー防御のシステムであるファイアウォールの動作までも取り扱っている。

初心者向けであり、通信のやりとりを主題にすえているため、読み物として最初から順番に読んでいくことができるのが魅力である。ソフトウェアの実装から通信路の物理的な特性に関わる部分（ツイストペアがより線で構成されている理由やファイバー内の光の伝送形態など）まで幅広く述べられているので、ネットワークにある程度精通している人でも知らない部分はきっとあるだろう。

ネットワーキングについて解説した書籍は多々あるが、アプリケーション層から物理層に至るまでの基礎知識をカバーしている書籍はなかなかない。その点、本書はユーザー端末から通信の経路をたどっていくアプローチにより、うまく一連の解説をこなしている。ネットワーク技術に興味のある人はぜひ読んでみて欲しい。（斎藤牧人）

われわれが普段接しているネットワークを利用したサービスは、まさにバックに存在する多くのサーバー群なしには成り立たないものである。インターネットのサービスはWebサーバーが提供し、データの管理はデータベースサーバーが行う。メールの配信はメールサーバーが行い、認証やセキュリティ確保などにもサーバーが必要になる。また、これらのサービスが実際に届くまでにも多くのサーバーが通信の仲立ちをしているのである。

本書は、最新のサーバーのしくみを解説したものである。現在使用されているサーバーの種類、役割、動作などを解説している。基本的にはインターネットを中心とするネットワークが話題の中心となっており、TCP/IPプロトコルの解説やIPアドレスの概念、DNSの動作、ルーティングにも言及している。

現行のサーバーの運用形態にも十分な紙数を割いて解説しているのが特徴であり、データセンターなどのサーバーを預かる施設の解説やサーバーに使用されるOSとハードウェア、その他ネットワークに関する機材もひととおり解説している。ネットワークに関連するサーバー群としては、Webサーバー、Telnetサーバー、DNSサーバー、ファイアウォールサーバー、DHCPサーバーなどを取り扱っており、動作の詳細が簡潔にまとめられている。

最後にはネットワーク設計と構築について述べられており、規模に応じたネットワークの設計、管理、監視、運用などについて解説している。さほど詳細ではないが、設計と構築の留意点を中心に一連の作業を解説しているので、ネットワーク設計と構築の参考になるだろう。

ネットワーク構築には多くの要素が介在するが、ネットワークの機能そのものを提供し、ネットワークを使用したサービスを提供するサーバーは最も重要な位置にある。ネットワークを理解するためには必須の知識になるだろう。ネットワークを中心としたサーバーを学びたい人におすすめ。（斎藤牧人）

情報化社会はネットワークの発展によって支えられてきた。多くの場合ネットワークの存在を意識する必要はなく、携帯電話も、銀行のATMもなぜつながるのかを知らなくても使うことができる。しかし、日々進化していくネットワークサービスがどのような技術に支えられているのかを知らなければこれからの技術を洞察することも、これから到来するネットワークの世界を理解することもできない。技術者のみならず一般の人でも興味のあるところであろう。

本書はネットワークの技術について述べたものだ。図解によるわかりやすい解説を主眼としており、ネットワークの基本的な構造、OSI参照モデルとTCP/IPプロトコル群、WAN、LAN、そして、ネットワークの設計と管理について述べている。ネットワークの基本的な構造についてはアナログの電話網に代表されるツリー型ネットワークやメッシュ型のネットワークを持つインターネットの概念などが解説されている。伝送方式についてはアナログ伝送とデジタル伝送の解説、符号化や誤り検出について簡単に解説されている。OSI参照モデルとTCP／IPの項目ではOSIの上位から下位に向かって解説を行っており、パケットヘッダ情報とからめたOSI階層の解説などを行っている。そしてWANにおける接続インタフェースの解説と電話網、ISDN、パケット交換網、専用線といったWAN技術について解説している。

LANについてはLANの規格、LANを構築するための機器やソフトウェア、LANのプロトコルといった話題が取り扱われている。そして、インターネットのシステムとしてインターネットの歴史や仕様、ルーティングのしくみや提供されているサービスについての説明、ネットワークの設計と管理に関する基礎的な知識についても解説されている。モバイルやITSといった技術には触れておらず、インターネットを中心としたTCP/IPネットワーキングに必要となる知識が中心となっている。

本書は初心者がネットワークの動作を理解するためには手ごろな1冊といえる。これからネットワークを学ぶ人におすすめしたい。（斎藤牧人）

パソコン同士をLANケーブルで結ぶことで、それぞれのパソコンに搭載したハードディスクやCD-ROMドライブ、プリンタやスキャナなどの周辺機器、さらにはインターネットへの接続を可能にするLANは、複数のパソコンを所有するユーザーにとってはぜひとも挑戦してみたいところだ。しかし、パソコン初心者にとっては難しそうなイメージが先行して、導入をためらっているケースも多いだろう。

本書は。初心者向けにこのLANの導入法や活用法をわかりやすく紹介している。LANの概念や種類といった基本的な情報はもちろん、LANの導入に必要な機器のセットアップから、ネットワークの設定、ファイルや周辺機器、インターネット接続の共有にいたるまで、LANの構築方法をわかりやすく解説している。このほかにも導入編では、LANケーブルなしでスマートなLANが構築可能な無線LANも紹介している。

さらに活用編では別のパソコンから特定のパソコンを操作する方法やWindowsとMacintoshを接続する方法、さらにはインターネットの常時接続環境をLAN環境で活用する方法にいたるまで、およそLANでできることすべてを網羅する充実ぶりとなっている。これからLANを導入してみたい人はもちろん、導入したけれど何をしていいかわからない、という人にもおすすめ。（近藤大介）

インターネットの影響で爆発的に普及したパソコン。いまや何台ものパソコンや周辺機器をつないで活用するネットワーク（LAN）すら一般的になってきた。しかし、LANはパソコンや周辺機器の間を長いLANケーブルでつなぐ必要があるので、オフィスではともかく一般の家庭では使い勝手が良いものとはいえない。そこで最近一般ユーザーの人気を集めているのが、面倒なケーブルで接続しなくても簡単かつスマートにLANを楽しめる無線LANである。

本書はこの無線LANを導入し活用するためのテクニックを満載した1冊だ。最大の特徴は、フレッツISDN、ADSLなどのインターネット常時接続環境下での無線LANの導入についても詳しく解説している点。ADSLやCATVインターネットなどのブロードバンドに対応した無線LANユニットでのインターネットへの接続方法を、イラストや画面写真などを交えて詳しく解説している。もちろん、ネットワークや無線LANのしくみ、設定方法といった無線LANの基本的な項目も詳しく解説している。また、無線LANを組み込んだLANの活用方法や周辺機器の共有方法などLANではおなじみの設定方法や活用法も紹介している。付録としてAirMacを搭載したMacintoshからのインターネット接続方法やイラスト入りのLAN用語集なども収録しており、周辺情報も充実している。（近藤大介）

無線LANのススメ
内藤有、深山武（ソフトバンククリエイティブ 2000年07月）

光&高速LAN構築工事技術完全マニュアル
小野寺充、吉田博、下牧一高、堂迫隆久、山下泉、河井泰子、多田義彦、御代川勉、アライドテレシスマーケティングコミュニケーション部（リック 1999年01月）

本書は、LANにまつわるテクノロジー全般に関する教科書である。LANの概要、メリットといった基本や、LAN構築の際に出てくる規格や技術をひとつひとつ知ることができる。主に、イーサネットやルーター、ハブ、TCP/IPなどのインフラ寄りのテクノロジーについて触れられている。

家でインターネットを使うためにこれらの設定を行っている人も多いだろうが、TCP/IPというプロトコルがどういうしくみでデータのやりとりをしているかなど、技術の基本的なところを知らなくてもなんとなく設定できていることが多いのではないだろうか。しかし、社内ネットワークなどの大規模なネットワークになってくると、障害発生時に原因の切り分けが必要になり、その場合に各技術の基礎を知っているのと知らないのでは、後の対応に大きな差が出てくる。本書では、たとえばTCP/IPのやりとりの詳細や、イーサネットのしくみなど、日ごろ具体的にかかわるLAN技術の概要を理解することができるため、何かあったときに次のステップへ進むための道が見えてくるようになる。

ただし、初めてLANを勉強する人には、若干難しいかもしれない。幅広く説明されているため、自分とは無縁な技術も記述されている可能性も高く、うまく必要なところだけをピックアップして読み飛ばす必要もあるだろう。しかし、扱う内容の幅広さは、ネットワークを勉強する人の1冊目に適している。（川藤一真）

LAN学事始め
井上恭輔（アイ・ディ・ジー・ジャパン 1995年06月）

ATM‐LAN
清水洋、鈴木洋（ソフトリサーチセンター 1995年02月）

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